プレスリリース 2007.10.12

日本野鳥の会が、バードウォッチャーのバイブルとも呼ばれる野鳥図鑑
『フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂版』を10月15日に発行

平成19年10月12日

 財団法人日本野鳥の会(本部:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数:5万1千人)は、1982年に初版を発行して以来、多くのバードウォッチャーからバイブルとも呼ばれて親しまれ続ける野鳥図鑑「フィールドガイド日本の野鳥」の増補改訂版をこの10月15日に発行する。これにより今後ますます野鳥を通して自然への興味を持つ人々が増え、ひいては地球環境の未来に貢献できることを期待する。

初版以来24年以上継続発行

 日本のフィールドガイド(野外識別用図鑑)の草分けとして1982年11月に初版を発行して以来、内外から高い評価を得てきた本書は、その出版分野の発展や野鳥の野外識別向上の礎ともなり、いまだ多くのバードウォッチャーや研究者に愛され続けている。若くしてこの世を去った高野伸二(当会理事、1984年逝去、享年59歳)の執筆により、当時の当会の英知を集めて発行した、まさに歴史に残る一冊と言えるものである。のちに同増補版を発行した1989年11月以降も版を重ね、初版から数えると実に24年以上発行が続いており、総発行部数は現在までで17万部以上にのぼる。

増補改訂版、その主な内容

 当会では、高野の著作を活用し、今後も本書を多くの方々に末永く使われるものとしていくために、改めて追記と一部修正を施した『フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂版』を編纂し、この度、高野の命日でもある10月15日に発行する。
 増補改訂版では高野の著作の長所を活かし、かつ初心者から指導者まで使えるような図鑑としての機能を備えられるよう考慮し、主に以下のような改訂を行い、総計では614種を扱った。

【改訂内容】

  1. 「日本鳥類目録改訂第6版」(日本鳥学会.2000年発行)に準拠し、分類や名前などを改訂。
  2. 解説文中の生息状況や分布の記載が古くなっているものを更新(分布図の修正を含む)。
  3. 高野による執筆当時以降に明らかになった知見に基づき、解説や図版の一部を加筆修正。
  4. 1989年の増補版発行以降、2006年までに日本野鳥の会、日本鳥学会、山階鳥類研究所が発行した学術誌に論文や短報が掲載された種、「日本鳥類目録改訂第6版」で新たに掲載および検討中とされた種で今後も観察されそうな種を中心に計38種を追加掲載
  5. 野生化した飼い鳥などとして、外来種4種および野生化した家禽3種、計7種を外来種問題の記述と共に追加掲載。
  6. 行動、痕跡(古巣、卵)、羽の見分け方を新たに執筆して追加掲載。
  7. カラーインデックスの導入、観察頻度、レッドデータ、フィールドマナーの記載など、全体への新たな工夫を追加。

増補改訂版執筆者

 増補改訂・追加部分の解説執筆は、当会普及室主任研究員・安西英明、叶内拓哉氏(野鳥写真家)、田仲謙介氏(ジスコボルネオ旅行社)が、イラストは谷口高司氏(野鳥イラストレーター)と、いずれもそれぞれの分野の第一線で活躍する執筆陣が担当した。

『増補改訂版』追加掲載の38種、外来種4種および家禽3種(掲載順)は以下のとおり。

(野鳥)38種
ナキハクチョウ、ミカヅキシマアジ、ヒメウミスズメ、マダラシロハラミズナギドリ、チャガシラカモメ、ワライカモメ、クロワカモメ、キアシセグロカモメ(モンゴルカモメ)、ニシセグロカモメ(ホイグリンカモメ)、アイスランドカモメ、コウライクイナ、セイケイ、アメリカムナグロ、コシジロウズラシギ、ヨーロッパチュウヒ、バンケン、アオショウビン、コウテンシ、タイワンショウドウツバメ、マキバタヒバリ、シロビタイジョウビタキ、ヨーロッパコマドリ、ハイイロチャツグミ、イナダヨシキリ、ヒメウタイムシクイ、コノドジロムシクイ、キタヤナギムシクイ、チフチャフ、モリムシクイ、マダラヒタキ、ウィルソンアメリカムシクイ、チャキンチョウ、ズアオアトリ、ゴシキヒワ、イエスズメ、バライロムクドリ、ハイイロオウチュウ、カンムリオウチュウ
(外来種)4種
ガビチョウ、カオグロガビチョウ、カオジロガビチョウ、ソウシチョウ
(家禽)3種
アヒル、バリケン、ガチョウ
フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂版の写真

■ 『フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂版』
■ 著者/高野伸二
■ 増補改訂部分/解説:安西英明(当会普及室主任研究員)、叶内拓哉、田仲謙介
イラスト:谷口高司
■ B6変形判、374ページ
■ 定価:¥3,570(税込)

『フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂版』のご注文・お求めは、

①全国最寄りの書店で
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②日本野鳥の会 普及室 通信販売係
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2626 FAX:03-5436-2636
http://www.wbsj.org

【本件のプレス関係者様からのお問い合わせ先】
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財団法人日本野鳥の会 普及室 担当:小林篤六、笹川泰次
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E-mail atsumu@wbsj.org  http://www.wbsj.org

【財団法人 日本野鳥の会】
日本野鳥の会は、1934年(昭和9年)に中西悟堂により創設され、1970年に財団化。「野の鳥は野に」の精神から引き継がれた「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然に親しみながら、自然を守る活動を続けているNGO。会の多岐に渡る活動は全国89の支部と約51,000人の会員・サポーターに支えられている。会長:柳生 博。

執筆者プロフィール

【高野伸二】(たかの しんじ)
1926年~1984年。1953年、東京教育大学理学部卒業。日本野鳥の会理事、日本野鳥の会常務理事などを歴任。植物からクモに至るまでの幅広く豊富な知識と謙虚な態度で、全国のナチュラリストが師と仰ぎ、敬愛して来た。野鳥やクモの生態写真のパイオニアでもあった。「野鳥識別ハンドブック」(日本野鳥の会)、「日本産鳥類図鑑」(東海大学出版会)、「A FIELD GUIDE TO THE BIRDS OF JAPAN(英文)」(共著・日本野鳥の会)、「写真集 野の鳥の四季」(小学館)、「野鳥を友に」(朝日新聞社)など著書多数。
【安西英明】(あんざい ひであき)
財団法人日本野鳥の会普及室主任研究員。1981年、(財)日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリに初代レンジャーとして着任後、野鳥や自然観察、環境教育などをテーマに講演、ツアー講師などで全国や世界各地を巡る。解説を担当した野鳥図鑑は30万部以上発行、NHKラジオ「季節の野鳥」は10年以上続いている。おもな著書として、「スズメの少子化、カラスのいじめ」ソフトバンク新書(2006年)、「新・山野の鳥」・「新・水辺の鳥」日本野鳥の会(1998年)、「バードウォッチング案内人の手引き」日本野鳥の会(1998年)、「旅のついでのバードウォッチング」人類文化社(1999年)など。
【叶内拓哉】(かのうち たくや)
野鳥写真家。1946年、東京生まれ。子どもの頃から動植物に興味を持つ。東京農業大学農学部卒業。卒業後9年間、造園業に従事し、のちに野鳥写真家として独立して現在に至る。著書・共著書に「鳥に出会うたび」(世界文化社)、「野鳥写真マニュアル」(東海大学出版会)、「花見鳥」「鳥華抄」(文一総合出版)、「鳥景色」(講談社)、「どこ いくの?」「落としたのはだれ?」(福音館書店)、「フィールドブックス野鳥」「山渓ハンディ図鑑日本の野鳥」(山と渓谷社)など多数。
【田仲謙介】(たなか けんすけ)
小学5年生の時、日本野鳥の会レンジャーが常駐する横浜自然観察の森(神奈川県)で虫採りをしていたことがきっかけで鳥にも興味を広げ、同観察の森のジュニアレンジャーになる。やがて、海外青年協力隊でボルネオに渡り、山階鳥類研究所の指導を得ながら鳥類標識調査を始め、サラワク州のラムサール条約関係の調査や環境教育プロジェクトにも従事した。現在、ジスコボルネオ旅行社に勤務。
【谷口高司】(たにぐち たかし)
野鳥イラストレーター。1947年東京杉並・善福寺生まれ。早稲田大学卒業。日本野鳥の会発行ハンディ図鑑「新・山野の鳥」・「新・水辺の鳥」、「さわる図鑑①②」をはじめ、アジア各国の自然保護団体等から出版された「台湾野鳥図鑑」、「アジア水鳥図鑑」、「原色野鳥図鑑 韓国の鳥」、「モンゴル野鳥図鑑」の図版を担当。図鑑イラストレーターの第一人者として活躍中。そのほか「空に広がる動物園」、「絶滅危惧種 日本の野鳥」、「”タマゴ式”鳥絵塾」など著書も多数。

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